なかい皮フ科クリニック(津市)

医療コラム

ニキビ①〜できるメカニズムを知る〜

2026年9月2日

ニキビについてです。

日々ニキビ診療を担当している皮膚科医・副院長が解説します。診察を受けに来てくれている方たちは、説明を聞いたことがあると思いますが、もっと詳しく説明しますのでよかったらご一読ください。

ニキビとは

ニキビ(尋常性痤瘡)は、毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌(Cutibacterium acnes)が増殖することで炎症を起こす皮膚疾患です。思春期に始まることが多く、思春期においては慢性の炎症性疾患として扱われます。近年は大人ニキビの方も受診されることが多く、20〜30代以降も長引くケースが増えています。単なる「吹き出物」や「肌荒れ」ではなく、毛穴と皮脂腺がセットになった「毛包脂腺系」という構造で起こる炎症性疾患であるという点がポイントです。

毛穴と皮脂腺の関係

毛穴の内部には毛包(皮膚の内部で毛の根を包み込んでいる袋)があり、毛包の上方にくっつく形で皮脂腺が存在します。この毛穴と皮脂腺のセットを「毛包脂腺系」と呼びます。皮脂腺は毛包に開口しているため、皮脂腺で作られた皮脂は毛穴を通って肌表面に分泌され、皮膚の乾燥を防ぎ、外的刺激から肌を守るバリア機能を担っています。ところが、毛穴の出口付近の角質が何らかの原因で厚くなると、皮脂の通り道が塞がれ、皮脂が毛穴の中に滞留してしまいます。これがニキビの出発点である「面皰(コメド)」の形成です。

皮脂腺の発達

皮脂腺は生まれつき存在しますが、小学生くらいまでは未発達で小さいままです。皮脂腺の活動は男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を強く受けます思春期になると性ホルモンの分泌が活発化し、それに伴って皮脂腺が発達・肥大化し、皮脂の分泌量が急増します。これが思春期にニキビが多発する主な理由です。皮脂腺が特に多く分布する部位(額、鼻、あご:Tゾーン、Iゾーン、胸、背中などの脂漏部位)にニキビができやすいのはこのためです。

皮脂腺の男女差
皮脂腺の発達には、男性ホルモンの分泌量の差を主因とした明確な男女差があります。毛穴や皮脂腺の「数(密度)」自体に男女差はほとんどありませんが、「大きさ・活動量」には大きな違いがあり、男性の皮脂分泌量は女性の約2〜3倍に達するといわれています。

男性は思春期以降、男性ホルモン(テストステロン)の急増により皮脂腺が大きく発達し、皮脂の産生が強力に活性化されます。女性の体内にも少量の男性ホルモンはありますが、女性ホルモン(エストロゲンなど)には皮脂分泌を抑える働きがあるため、男性ほど皮脂腺は肥大化しません。

年齢による変化のパターンも異なります。男性は思春期〜20代でピークを迎えたあと、30〜40代でも高い分泌量を維持し衰えをみせず、50代以降にようやく緩やかに低下します。一方女性は20代前半をピークに、その後は加齢とともに皮脂腺の活動が急激に低下し、30代以降は乾燥に悩みやすくなります。

肌質への影響として、男性は皮脂腺の発達により常に油分が多く、テカリ・ベタつきや、皮脂で押し広げられた毛穴の開きが目立ちやすい傾向にあります。女性は通常皮脂量が少ないものの、ストレスや睡眠不足、生理周期によるホルモンバランスの乱れで一時的に男性ホルモンが優位になると、大人ニキビや毛穴の開きが生じることがあります。

皮脂の出る原因

皮脂分泌が増加・過剰化する要因は複数あります。

  • ホルモンバランス:男性ホルモンの増加(思春期、月経前、多嚢胞性卵巣症候群など)
  • 生活習慣:睡眠不足(寝不足・夜更かし)、ストレス(ストレスホルモンが皮脂分泌を刺激)
  • 食生活:高GI食品、乳製品、脂質過多の食事との関連が指摘されている
  • 気候・季節:高温多湿な環境での皮脂分泌亢進
  • スキンケア:過度な洗顔や誤ったケアによる乾燥への反応性皮脂分泌(インナードライ)
  • 紫外線:角質肥厚を招き毛穴詰まりを助長

ニキビの種類

進行段階によって以下のように分類されます。

  1. 白ニキビ(閉鎖面皰):毛穴が閉じた状態で皮脂が内部に溜まった初期段階
  2. 黒ニキビ(開放面皰):毛穴が開き、皮脂が酸化・黒色化した状態
  3. 赤ニキビ(炎症性丘疹):アクネ菌の増殖により炎症が起こり赤く腫れた状態
  4. 黄ニキビ(膿疱):炎症がさらに進行し、膿を持った状態
  5. 硬結・嚢腫(結節性・嚢腫性ニキビ):炎症が真皮深部まで及び、しこりや嚢腫を形成する重症段階

ニキビ跡の種類

  • 炎症後色素沈着(PIH):表皮基底層のメラノサイトが刺激され、メラニンが過剰産生されて茶色く残る色素斑
  • 炎症後紅斑(PIE):炎症によって拡張・増生した毛細血管が透けて見える赤み。時間経過とともに軽快しやすい
  • クレーター状瘢痕(萎縮性瘢痕):アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型に細分類され、真皮のコラーゲン破壊により陥凹する
  • 肥厚性瘢痕・ケロイド:炎症が強く、逆にコラーゲンが過剰に産生され盛り上がる瘢痕

特殊なニキビ

  • 大人ニキビ(思春期後ニキビ):あご・フェイスラインに好発し、ホルモンバランスやストレス、ターンオーバーの乱れ、乾燥などが関与。
  • マラセチア毛包炎:真菌(マラセチア)の異常増殖による毛包炎。かゆみを伴いやすく、通常のニキビ治療に反応しにくいのが特徴。抗真菌剤を使用する。
  • スポーツ性ニキビ・機械性痤瘡:汗、摩擦、ヘルメットやマスク、スポーツウェア、リュックなどの物理的刺激により毛穴が刺激されて生じるニキビ。毛包炎のこともある。
  • ステロイドざ瘡:ステロイド外用・内服により生じる、均一な赤い丘疹が多発する痤瘡様皮疹。アトピーの人にも合併しやすい。
  • 月経前ニキビ:排卵後の黄体期にホルモン変動で悪化するパターン。大人ニキビの一部として出現することもある。
  • ニキビダニ(毛包虫症/デモデックス症):毛包内に常在するニキビダニ(Demodex folliculorum/brevis)が異常増殖し、酒皶様の皮疹やニキビ様の炎症を引き起こすことがある。ニキビと誤診されやすいが、抗菌薬より抗寄生虫治療が有効な点が異なる

ニキビ②では、治療やスキンケアについても解説します。

ニキビで悩んでいるなら自己判断せずにまず皮膚科を受診してください。

執筆・監修:なかい皮フ科クリニック 
副院長 中井智絵

2004年 三重大学皮膚科入局

病院勤務時代はNICUから老健施設まで幅広い年齢層での診察の経験があり、赤ちゃんからご高齢の方まで診察可能。また三重大学病院ではレーザー外来、日帰り手術外来を担当していた。
3人の子供を育て乳幼児から思春期の肌トラブルも親身に診察。
日本化粧品学会2級、1級、コスメコンシェルジュ保持にてスキンケア相談も可能。