皮膚科医として20年以上、日々多くの患者様の肌を診てきました。プライベートでは日本化粧品検定のコスメコンシュルジュも取得しており、「医学的な視点」と「化粧品としての視点」の両方から、外来診療でもスキンケア選びについてよくご質問をいただきます。
今回は「プチプラ」「デパコス」「ダーマコスメ」、そして当院でも取り扱う「クリニック専売品」の違いと選び方について、成分の観点からお話しします。

「ダーマコスメ」と「クリニック専売品」は近い概念ですが、クリニック専売品はさらに一歩進み、流通経路そのものを医療機関に限定することで、高濃度・高機能な処方を実現しているのが特徴です。すべてのブランドに共通するのは、皮膚科学的なエビデンスに基づいて設計されているという点です。
特に皮膚科・美容皮膚科で購入できるダーマコスメやクリニック専売品は、単に「肌ざわりが良い」「見た目がきれいになる」という化粧品的な価値だけでなく、エビデンスに基づき、皮膚疾患への有効性と安全性を考慮した成分で設計されているという点が、プチプラ・デパコスとの決定的な違いです。具体的には、以下のような役割を担っています。
つまりダーマコスメ・クリニック専売品は、「治療の一部」あるいは「治療と美容をつなぐスキンケア」として位置づけられるものであり、プチプラ・デパコスとは目的そのものが異なります。

デパコスは、美白・抗酸化・エイジングケアなど、ひとつの製品に複数の有効成分を高濃度で配合し、「効果の幅広さ」や「ラグジュアリーな体験」を訴求する傾向があります。
プチプラは主成分の種類を1種類などに絞り込み、コストを抑えながら一定の効果を狙う設計が多い印象です。
ダーマコスメは成分数をあえて絞り、「肌に必要なものだけをシンプルに」という発想で作られていることが多いです。
クリニック専売品はここからさらに踏み込み、市販化粧品では配合できない濃度・多種類の有効成分を組み合わせられることが最大の特徴です。たとえば美白ひとつをとっても、単一成分の濃度を上げるだけでなく、作用機序の異なる複数の美白成分を組み合わせ、相乗効果でメラニン生成のさまざまな段階にアプローチする、といった一歩先の設計が可能になります。アルファサイエンスの安定型システアミンや、カリグラムの高濃度処方、FEITHラメラボの独自リポソーム技術による角層コンディショニングなどは、一般流通では実現しにくい処方です。
有効成分がどれだけ優れていても、それを肌までしっかり届け、安定して働かせるための「サポート成分」の質が結果を左右します。
デパコスは独自の浸透技術やカプセル化技術に開発コストをかけていることが多いです。
プチプラは汎用的な処方が中心になりがちです。
クリニック専売品に共通するもうひとつの軸が、肌バリア機能そのものへの着目です。MTメタトロンの独自浸透技術、FEITHラメラボが提唱する「ラメラサイエンス®」による角層の水分・脂質構造への着目などはその代表例で、有効成分を届けるだけでなく、角層のバリア機能自体を整え、外部刺激に強い肌土台をつくることを重視しています。これは、敏感肌、乾燥肌、アトピー性皮膚炎やニキビ肌の環境を整えたり、レーザーや光治療、ピーリングなど治療後のダウンタイムケアを前提に設計されているためです。
デパコスの価格には、高級オイルや希少な植物性ウォーター、調香師が作成した香料による使用感やブランド体験、幸福感の価値も含まれています。これは効果とは別軸の「使う楽しみ」で人生を豊かにする体験価値があります。ただし香料やエッセンシャルオイルは、肌が敏感になっている時期には刺激因子になり得るため注意が必要です。
プチプラも使用感を高めるために香料を使うことが多く、デパコスと比較すると安価なオイルや水が使用されています。
ダーマコスメやクリニック専売品は無香料・無着色・アルコールフリーなど、「体験価値」よりも「機能性」を優先した処方が基本です。ビューティフルスキンやイニクス、FEITHラメラボのようなクリニック専売ブランドも、合成界面活性剤やパラベン、鉱物油、香料を極力配合しない思想を貫いているものが多く見られます。
「肌に優しい」という言葉は、実はブランドによって定義が異なります。デパコスの「優しさ」は使用感の心地よさを指すことが多く、ダーマコスメ・クリニック専売品の「優しさ」はアレルギーテスト済み・低刺激性処方・皮膚科医監修といった、医学的根拠に基づく安全性を指すことがほとんどです。
クリニック専売品はさらに、施術直後の炎症を起こした肌を素早く鎮静させることと、次回の施術までに肌状態を底上げしていくことの両方を意識して設計されています。単に「今の肌をケアする」だけでなく、治療サイクル全体を見据え6ヶ月、1年先の肌状態をより良いものにするためのホームケアという役割を担っている点が、市販品との大きな違いです。
大切なのは「高いから良い」「安いから物足りない」ではなく、今のご自身の肌状態に、その処方が合っているかどうかです。特に施術直後や肌荒れ時は、成分数が少なく低刺激なダーマコスメ、あるいは治療との相性を考慮したクリニック専売品から始めることをおすすめしています。
当院でも、カリグラム、MTメタトロン、プラスリストア、イニクス、ロート製薬、ポーラメディカル、FEITHラメラボ、アクセーヌ(アルファサイエンス、、ビューティフルスキン:今後導入)をはじめとしたクリニック専売品を現在約80種(100種を目指して)取り扱っており、肌悩みに応じた選択ができるように日々スタッフ知識もブラッシュアップしています。最新の成分や機能はわかりやすくご説明いたしますので、ご自身の肌状態に合った製品選びについて、迷ったときはぜひ診察の際に、施術の際にお気軽にご相談くださいね。
三重県でスキンケア相談と言えば、なかい皮フ科クリニックと言われるようにコラムやinstagramでも日々発信していきます。
2004年 三重大学皮膚科入局
病院勤務時代はNICUから老健施設まで幅広い年齢層での診察の経験があり、赤ちゃんからご高齢の方まで診察可能。また三重大学病院ではレーザー外来、日帰り手術外来を担当していた。
3人の子供を育て乳幼児から思春期の肌トラブルも親身に診察。
日本化粧品学会2級、1級、コスメコンシェルジュ保持にてスキンケア相談も可能。