皮膚科医になり20年以上、日々多くの患者様の肌トラブルを診てきました。今回は夏に増える「金属アレルギー」について詳しく解説します。
金属アレルギーは、皮膚に触れた金属イオンがタンパク質と結合し、体が「異物」と認識することで起こるIV型アレルギー(遅延型過敏反応)です。汗をかく夏は金属が汗によって溶け出しやすく、皮膚への浸透も進むため、症状が顕著になったり悪化しやすい季節といえます。
金属が触れていた部位を中心に、かゆみを伴う紅斑・丘疹などの湿疹局面が現れます。慢性化すると皮膚が硬く厚くなる「苔癬化」を起こすこともあり、首まわりなどでは汗疹(あせも)と間違われやすいので注意が必要です。
代表的なのはニッケル・コバルト・クロムの3つ。特にニッケルは、ほとんどのアクセサリー、腕時計の裏蓋、ベルトのバックル、眼鏡フレームなど、私たちの身の回りの品に広く含まれています。
診断はパッチテストで原因となる金属を特定します。治療はステロイド外用薬でかゆみと炎症を抑えつつ、原因金属を生活から除去することが基本です。パッチテストは48時間貼付部位を塗らせないためシャワーが難しいこと、また夏は汗で判定にミスが出やすいことから、秋以降の涼しい季節がおすすめです。

意外と知られていませんが、ニッケルはチョコレート・ナッツ類・豆類・全粒穀物などの食品にも含まれています。ニッケルアレルギーのある方はこれらを口にすることで全身性に湿疹が出る「全身性接触皮膚炎」を起こすケースもあり、原因不明の湿疹が続く方は食事内容の見直しも一つのポイントです。
ピアスホールは金属と皮膚が常に密着する部位のため、感作されやすい代表例です。特にピアスを開けたばかりの時期は要注意。サージカルステンレスや純チタン、医療用プラスチック、樹脂製のピアスを選ぶとリスクを抑えられます。
「もしかして金属アレルギーかも」と感じたら、自己判断せずに皮膚科でパッチテストを受けることをおすすめします。原因を正確に特定することが、根本的な改善への一番の近道です。
2004年 三重大学皮膚科入局
病院勤務時代はNICUから老健施設まで幅広い年齢層での診察の経験があり、赤ちゃんからご高齢の方まで診察可能。また三重大学病院ではレーザー外来、日帰り手術外来を担当していた。
3人の子供を育て乳幼児から思春期の肌トラブルも親身に診察。
日本化粧品学会2級、1級、コスメコンシェルジュ保持にてスキンケア相談も可能。