なかい皮フ科クリニック(津市)

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虫刺されと上手に付き合う ― 蚊・ハチ・ムカデの予防と対処法

2026年8月15日

夏に増えるのが「虫刺され」のご相談です。

今回は、蚊・ハチ・ムカデによる虫刺されについて、予防法から対処法、よくある民間療法の是非、そして知っておいていただきたい「蚊過敏症」という病気まで、皮膚科専門医の立場からわかりやすくご説明します。

虫の種類によって、実は反応の仕組みが違います

蚊に刺されたとき

蚊に刺されると、蚊の唾液に対するアレルギー反応でかゆみや赤み・腫れが出ます。刺された直後にまず膨らみ、しばらく消えたように静まります。そして半日〜1日後に赤く腫れてきます。皆さんが気づくのはこの遅延型反応の時が多いです。実は1日前に刺されていたということになります。お子さんでは後から強く腫れることがよくあります。これは病気ではなく、多くは成長とともに体が慣れ(感作)反応が落ち着いていきます。

ハチに刺されたとき

ハチ毒は皮膚や組織を直接傷つける成分を含んでおり、強い痛みと腫れが特徴です。最も注意していただきたいのは、全身に症状が広がるアナフィラキシーです。以前ハチに刺されて蕁麻疹が全身に出た、息苦しくなった、血圧が下がったという経験がある方は、次に刺されたときに重症化するリスクが高いため、事前にアレルギー専門の医療機関でご相談いただくことをお勧めします。

ムカデに咬まれたとき

ムカデは毒による組織への直接的なダメージが中心で、咬まれた瞬間から強い痛みが出るのが特徴です。赤み・腫れ・水ぶくれができることもあり、まれにリンパ節が腫れることもあります。

予防のポイント

 蚊

虫よけ剤(ディート・イカリジン配合)を用法通りに使用し、明け方や夕方の外出時は長袖・長ズボンを心がけましょう。

ハチ

香水や整髪料は控えめに。黒っぽい服はハチに警戒されやすいため、屋外活動時は明るい色の服がおすすめです。黒い帽子より白い帽子の方がいいですね。

ムカデ

布団や靴の中を履く前・寝る前に確認する習慣をつけましょう。素手で家具の下などを探らないことも大切です。

刺された・咬まれたときの対処法

虫の種類別対処法                                                                                     |

  

患部を冷やし、かきむしらないようにしましょう。掻き壊すと跡が残ったり、とびひなど感染症の原因になります                                     

ハチ 

針が残っている場合は、つまんで抜かず、爪や硬いカードなどで横から払うように取り除きます(つまんだりガムテープに貼り付けようとすると毒がさらに注入されることがあります)。その後流水で毒を絞り出すように周囲を摘んで冷やしてください。しばらくは全身の様子を観察してください。

ムカデ

ムカデの毒は熱に弱いので43〜46℃程度のやや熱めのお湯で4分程度洗い流します。熱により痛みが和らぐことが知られています。40度程度のお湯ではかえって症状を悪化させることがあるので、お湯が熱くならない時は冷やしましょう。

その民間療法、実は逆効果かもしれません

昔から言い伝えられている対処法の中には、医学的な裏付けがないばかりか、皮膚を悪化させてしまうものもあります。

おすすめしないもの

• 尿をかける → 衛生的でなく、感染のリスクを高めるだけで効果はありません

• アンモニアを塗る → 刺激が強く、かえって皮膚炎を起こすことがあります

• 爪で×印をつける → 皮膚への刺激になり、跡が残る原因になります

理にかなっているもの

• 冷やす → 血管を収縮させ、腫れやかゆみを和らげる効果が期待できます

• ムカデ咬傷への温浴 → 痛みの緩和に有効との報告があります

迷ったときは、自己判断で民間療法を試すよりも、早めに皮膚科を受診いただくのが安心です。

治療について

症状に応じて、かゆみ止めの塗り薬・飲み薬を中心に治療を行います。水ぶくれができている場合や、掻き壊して感染を起こしている場合は、それぞれに適した外用薬を使用します。ハチによるアナフィラキシーの既往がある方には、緊急時に使用する自己注射薬(エピペン)を処方できる専門医療機関をご紹介することもあります。

知っておいていただきたい「蚊過敏症」について

「蚊に刺されただけなのに、いつもと違う強い症状が出る」場合、単なる虫刺されではなく 蚊過敏症 という体質・病気が隠れていることがあります。

蚊過敏症は、蚊に刺された部分が通常では考えられないほど大きく腫れたり、水ぶくれや潰瘍になったりするだけでなく、発熱やリンパ節の腫れ、だるさなど全身の症状を伴うことがある病気です。背景には特殊なウイルス感染に関連した体質が関わっており、通常の虫刺され用の塗り薬だけでは改善しないため、専門的な検査が必要になります。

以下のような症状がある場合は、自己判断せず早めに皮膚科へご相談ください。

• 蚊に刺された部分がどんどんに大きく腫れる、水ぶくれや潰瘍になる

• 発熱や倦怠感、リンパ節の腫れを伴う

• 何度も繰り返し、症状がだんだん強くなっている

• ハチに刺された後、全身に蕁麻疹が出た、息苦しさを感じた

• 掻き壊して、じゅくじゅくしたり膿が出てきた

虫刺されは身近なトラブルですが、中には見過ごせないサインが隠れていることもあります。「いつもと違う」と感じたら、遠慮なく当院までご相談ください。

執筆・監修:なかい皮フ科クリニック 
院長 中井康雄 皮膚科専門医

2001年 三重大学皮膚科入局

国立がん研究センター中央病院で悪性黒色腫を始め皮膚癌について学び、三重県において皮膚癌の手術から薬物治療を行う体制を構築した。また三重大学皮膚科の外来医長、病棟医長を務めた経験から一般的な皮膚疾患に加え、クリニックでの皮膚癌早期発見、また皮膚腫瘍手術に対応。